【読書】:NHK まんがで読む古典

娘向けにNHK まんがで読む古典シリーズを購入したので主に備忘メモ。読書感想はなし。

本は、角川書店が発行している全9巻のものと、ホーム社漫画文庫が発行している全3巻の物がある。ホーム社のものには徒然草と雨月日記が収録されていないようなので、できれば角川版がいいと思う。僕が購入のために検討した時は、ホーム社の方は全3巻で送料込みで1500円前後で入手できるようだった。角川版は全9巻で送料込みで3500円ほどで入手できた。

購入してパラパラと流し見した印象だと、このシリーズは女の子向け(少女コミック)である。男の子向けで似たようなシリーズだと、中央公論社のマンガ日本の古典全32巻の方がいいのではないかと思う。
ごく最近に出版が始まったシリーズだと、学研まんが 日本の古典と言うシリーズがあり、これも魅力的ではあるのだが一冊当たり1400円と言うのはちょっと強気な値付け過ぎるかな、と思った。電子書籍で集めるのなら学研まんがをおすすめしたいと思う。

なお、我が家では読書は別にマンガでも本でもどっちでもいいと思っている。読解力なんて国語の授業で身につければいい話で、知識を獲得するのにはマンガだってかまわないだろう、という方針だ。また、本は新品でも中古でもなんでもいい(読めれば)とも思っている。もちろん何から何まで中古だとちょっと物悲しくなるが、新品であるべきなのはもうちょっと高級な学術書でいいだろうと思う。

ついでに、今回日本の古典のマンガをいくつかシリーズもので漁ってみて再認識したが、日本人って昔っからスイーツ(笑)小説大好きね。。。

【読書】:ネアンデルタール人は私たちと交配した

この本は、眼の誕生 – カンブリア紀大進化の謎を解くに引き続いて、NHKスペシャルのNHK 生命大躍進第3集『ついに“知性”が生まれた』の内容の下敷きになっているから読んだ。

今回は、初めてKindle本で購入して読んでみた。ので、その感想も含めて

Kindle本で読書をした感想

今まで、電子書籍は主に漫画コミック、雑誌を読んでいたけどテキストブックの電子書籍は初めて。
テキストブックの電子書籍で戸惑うのは、『ページと言う概念がない』と言う事だろう。コミックにせよ雑誌にせよ、基本的には紙版のハードコピーを読んでいるわけで、そこには紙の頃のままのページの概念が残っているし、見開きスタイルで読めば電子書籍であることの違和感をほぼ皆無にすることができる。
一方で、テキストブックだと画面の大きさや文字の大きさを調整することで1画面内の文字数は大きく変わり、それに沿ったレイアウトになるので非常に流動的。ページの概念がないと、やはり最初のうちは「自分が今どこを読んでいるのか」分からないので、けっこうな戸惑いを感じた。
一応Kindle本はその辺考慮はしてはあって、下の画面キャプチャのように

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章単位での読み終わる時間や

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本全体での読み終わる時間や

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仮想的な位置の目印なんかを表示して、読んでいる位置を把握できるようには務めているが、やはり紙のページの概念に慣れきっているとこの表示法は若干分かりにくく感じた。まあ、きっとKindle本をたくさん読んでいけばやがて慣れるのだろうとは思うけど。

あと、今回はタブレット(XPERIA Z2 Tablet)とファブレット(XPERIA Z Ultra)両方で読んでみたけど、スマホ(ファブレット)でもそこそこに読むことができた。やはり落ち着いて読むのならタブレットの方がずっと楽なのだけど、ささっと空き時間で読むならスマホの方中心で読み進めても問題ない感じだった。

この本について

この本は、著者のスヴァンテ・ペーボ氏がネアンデルタール人のDNAゲノムをすべて解読し、現代人種ホモ・サピエンスとの関係性を論ずることができるまでたどり着く約30年にもわたる半生を自伝的に扱ったもの。
本の中では、最初医科学生だったりエジプトのミイラに興味を持っていた学生時代の話から始まり、ふと思いついてスーパーで買ってきた牛のレバーからDNAを読み解く実験をしたことから、現在生きているものではない、死んでしまったものからDNAを取り出すことに挑戦していくようになる。最初はエジプトのミイラからDNAを抽出する挑戦に始まり、(そしてそれは論文となり注目を浴びたものの結果的には失敗であった)、その後訪れる『古代DNA』、特にジュラシックパークが流行りまくっていた頃の古代DNA抽出は不可能であることを示すお話や、その後分析時の汚染(コンタミ)を恐れるがあまりクリーンルームを作り始めるお話、そして研究所の所長となってプロジェクトを進めるようになり、他者との研究競争になる日々などを痛快に書き連ねている。なぜかゲイであることをカミングアウトしてたり、まあ変なお話もいろいろ混じっているけど面白い。

僕も大学生の頃、のべ二か月ほどクリーンルームでの分析作業をやったことがあるけど、日々コンタミとの戦いで、作業項目によっては作業後クリーンルームに入れず帰宅したりした記憶などが懐かしく思い出された。また、自分が学生の時にはあまり気にしなかったけど、古代ネアンデルタール人のゲノム解析にはコンタミだけではなく収率(いかに少ない試料から効率よくデータを回収するか)などの話も書いてあって、あー『はやぶさ』が帰還した時に回収した岩石(とも呼べないかもしれない砂粒)でも、ごく微量なものからごく微量な数値を検出する苦労と似ているなあなどと思ったりした。

ネアンデルタール人の謎、こうやって解いた | 今週のHONZ | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
↑最初、たまたまスマホのニュースアプリで↑の記事を読んで興味を持ったので、NHKスペシャルにも合わせて読んでみたのだが、かなり満足する内容だった。
ぜひ、他の方にも読んでみてほしいと思う。

【読書】転記:月刊天文ガイド2015年06月号より

久しぶりに天文ガイドをパラパラと読んでいたら友達の研究結果と思しき記事を発見したので転記。

via 月刊天文ガイド2015年06月号 page10 Astro News JUNE 2015

天の川銀河の回転速度を精密に測定

鹿児島大学の研究者などからなる研究チームは、大質量星形成領域 IRAS 20143+3634にある水メーザー天体の観測を行い、太陽系付近での天の川銀河の回転速度を、これまでよりより精密に測定することに成功した。

太陽系は天の川銀河の中心のまわりをほぼ円を描いて回っており、IRAS 20143+3634も太陽系とほぼ同じ円周上を回っている。この天体までの距離や固有運動を精密に測定するこことができれば、太陽付近での天の川銀河の回転速度を精度よく導き出すことができる。

研究チームはIRAS 20143+3634に含まれる、水メーザーを放射する天体を約2年間にわたって観測し、IRAS 20143+3634までの距離として8870光年、固有運動から計算した太陽付近での天の川銀河の回転角速度として、1キロパーセクあたり秒速27.3±1.6km(通常の速度で表すと秒速232km)という値を得た。この値は国際天文学連合が採用している秒速25.9km(同秒速220km)より大きく、最近のVERAなどによる観測結果を裏付けるものとなっている。

まあ読んだだけではなんのこっちゃ? と思うかもしれない。以下僕の解釈。

まず、地球が太陽の周りをまわっているように、太陽も銀河系の中でグルグルまわっている。で、今回の記事はその回転のスピードを調べたというお話なんだけど、そもそもなんでそんな回転スピードを調べる必要があるの? と言う疑問が沸いてしまうだろう。
まあ「単純な知的好奇心」で片づけてもいいんだろうけど、それじゃつまらないので一つ理由を探ってみると、「銀河系の中のダークマターの測定」ってことになるのだと思う。

実は、今分かっている銀河系の中の太陽などの回転速度は、現代物理学と矛盾する。
高校の物理で習うように、太陽と地球の関係とか、地球と月の関係を調べていくと、『ケプラーの法則』が導かれる。大きい天体の周りを小さい天体がグールグル回っていて、なおかつその回転速度は計算で求められる、という法則なのだけど、これを銀河系にあてはめるとどうなるか?
銀河系でも、もちろん中心(銀河系の場合には中心天体があるわけではないので仮想中心質点ってことになるけど)の周りを太陽がグールグル回っている。ところが、その回転速度がケプラーの法則で導かれる数字よりずっと大きいのだ。
この矛盾をどうするか? と言う問題において、現代物理学では『ダークマター(暗黒物質)』と言うものを想定している。つまり、ケプラーの法則は正しい、でも銀河系でそれが成り立たないのは、現在の人類が観測できていない謎の重力原、ダークマターがあればいいと結論付けて矛盾を回避しているのである。

ということでお話の最初に戻ると、銀河系の中での太陽の回転速度を求めるということは、銀河系の中にあるダークマターの量を求める、ということにつながるのだ。今回の研究によると、今までに比べて太陽の回転速度は速かった。ということは、銀河系の中のダークマターの量(少なくとも太陽と同じ円周上での量)が今まで見積もられていたものよりも多いのでは? と言う結論を結びだしているって話になる。

まあ、他にもお話があるのかもしれないけど、以上がこの記事から読み取った僕の解釈。

【読書】:眼の誕生 – カンブリア紀大進化の謎を解く

今回、この本を選んだのは、ちょうどNHKスペシャルでNHK 生命大躍進と言う番組をやっているからである。
この本は、ちょうど、第1集「そして“目”が生まれた」の内容の下敷きになっている本の一つ。

この本の結論は、「光スイッチ説」と言うものの提唱である。もう少し解説すると、地球における生物の進化を紐解いていくと、約5億4300万年前に始まるカンブリア紀に、突如動物の種類・個体数が増加する『カンブリア爆発』と言う現象があったこと(さながら『進化のビッグバン』とも呼ばれている)が分かっているのだが、なぜこの時期に生命が急拡大したのかが分かっていなかった。本書は、その疑問に対して、「この時期に生命が『眼』を獲得する、と言うイベントがあった。(つまり光を受信できるようになった。)これが引き金(スイッチ)となって、動物の爆発的な繁栄につながった」と結論付けるものである。
とまあ、結論から書いてしまうと結構身も蓋もない中身なのだけど、その仮説を提唱するにあたって現代生物学、古生物学、物理(光)学等の知識をフルに活かして迫っているのがすごい。

現代生物学の観点では、「光」があることの意味をまず考える。地球上で光の届かない深海や洞窟内での生物の適応、あるいは特に光満ち溢れる熱帯の昆虫上に見られる色彩などを通して、進化と光が切っても切れない(進化に対する淘汰圧が高い)ことを説明していく。

一方、古生物学の視点では、バージェスなどで発見された非常に状態の良い化石の微構造を電子顕微鏡で調べることで、古代の生物たちが構造色を持つ=古代の生物たちは非常にカラフルな形態をしていたことを明らかにしていく。

さらに、古生物たちの「眼」の構造にも迫っていく。カンブリア紀に地球を支配していた動物はそのほとんどが節足動物門であり、そのほとんどが複眼構造を持つのだが、その構造も電子顕微鏡で丹念に追っていく。三葉虫の複眼が方解石で構成されていたなんて僕は知らなかった。

また、進化速度を実際に計算した結果も載っているのも面白い。例えば、脊索動物門の持つカメラ眼構造は、初期のただの感光細胞から魚類の持つ程度のカメラ眼構造に進化するまで、およそ365,000世代と見積もっている。一世代一年とすれば、眼の複雑な進化は50万年もかからずに進化できるのだ。

これらのような丹念な観察から、最終的に光スイッチ説にたどり着く壮大な話は読んでいてワクワク感を覚える。また、本書の中に具体例として挙がってくる動物たちも面白い。グソクムシなど、日本で断食しているダイオウグソクムシがブームになるよりずっと前に取り上げられていたのだな、とびっくりする。カンブリア紀の動物たち、アノマロカリスに始まりオパビニアやハルキゲニアなど、奇妙な生物群を見るのもとても面白い。

なお、この本では最後に一つに疑問を残す。『何が眼の進化の引き金となったのですか』である。この本では、銀河系に話が飛んだり海の透明化に話が飛んだり、今一つこの疑問は解決されていない。僕が以前読んだ凍った地球 – スノーボールアースと生命進化の物語に出てくるアースボール仮説も可能性の一つとして挙げられている(が残念ながら、アースボール仮説とカンブリア爆発とではタイムラグが大きく、ここを埋める説明ができない)。
で、今回のNHKスペシャルではロドプシンと言う光を受容する遺伝子が、植物から動物へジャンプした説を提案している。「じゃあ、なぜこの時期に遺伝子のジャンプが起こったの?」と言う疑問を持ってしまうと疑問の連鎖の中に沈んでしまうのだけど、ここを追求するのもまた面白いだろうなあと思った。

【読書】:凍った地球 – スノーボールアースと生命進化の物語

作者は僕も一応顔見知りの方である。
作者の方はもともと地球物理関係の学部を出た計算機屋さんで、地質学関係の教室で研究をして、この著作は気候学に近い分野で、とまあこの作品は地学分野を非常に横断的に扱っているので、この本は素人にはちょっと難しいかもしれない。決して、難しい計算式が出てくるとかそういうことではないのだけど、地球物理的知識を要求したり、惑星科学的知識を要求したり、古生物学的知識を要求したり、となっているので、高校で地学をある程度きちんと履修した人や、大学の一般教養でこの話題にちょっと関心を持った人、なんかが読者のターゲットにあたるんじゃないかなあと思う。

この本の中身は、表題の通り地球が凍った、と言うお話である。つまり、地球全体がでっかい雪だるまになっちゃった! と言うもので、ちょうど西暦2000年頃(今から15年ほど前)に新しいアイデアとして学会などで扱われるようになった新説。
過去の地球の歴史を解いていくと、過去の地球の一時期に地球全体が凍結して、今は北極や南極、高山などにわずかしかない氷河が、なんと赤道まで覆っていた、と言うことがわかってきた。なお、『それって氷河時代じゃないの?』と思うかもしれないが、氷河時代は確かに氷河が広く発達するような時代ではあるけど、例えば日本あたりの緯度では完全には凍結しない程度の温度状況なので、氷河時代を大幅に拡張した概念である。
調査の結果、過去の地球には数百~数千万年ほども継続する全球凍結(スノーボールアース)状態が、数回、のべ1億年分ぐらい(地球自体の歴史は46億年なので、地球の歴史期間のうち2%ぐらいの時間で)起こってきたということがわかってきた。

この本の要点は2+1点かなあと思われるので、それぞれの要点について概略を。

要点の一つ目は、『どうやって地球は全球凍結状態に陥るのか、そしてまた地球はどうやって全球凍結状態を脱するのか』である。この疑問(と合わせて『そもそも本当に地球は全球凍結などしたのか』と言う疑問)を解くのは非常に難解である。
なにしろ、まず「地球が全球凍結した証拠」を探すことからして難しい。この本では地球凍結イベントが地球の歴史を通じて3回ほど起こったと考えているが、一番新しい「マリノアン氷河時代」ですらも、今から約6億年も前のお話なのだ。なお、日本で一番古い岩石は美濃地方にあるおよそ5億年前のものと言われているから、少なくとも日本ではどこを探しても全球凍結の証拠は見つからないわけだ。日本では見つからないけど、世界的に見ると大陸、それも大陸中心に近い領域に行けば古い岩石が残されているケースが多く、著者はそれこそ地球中を飛び回って証拠探しをしているのだと思われる。
そして、「全球凍結を起こす/脱出する原因」だが、これはなんと昨今の地球環境問題でも話題の「二酸化炭素」である。もっと言ってしまえば二酸化炭素の温室効果によって、地球表面でのエネルギー収支がどういう変化を起こすか、と言うことになる。この辺の議論はなかなか難しくて、そもそも地球に届くエネルギー源である太陽に関して、古い太陽は今よりも暗かった話だとか、地球を太陽が照らしても光が反射して逃げてしまう(アルベド)話だとかも組み合わせて慎重に議論しなければいけない。また、今の地球環境問題では二酸化炭素を増やしているのは人間の活動だけど、過去の(人間などいない)地球で、果たして誰が大気中の二酸化炭素を増やしたり減らしたりしたのか? などなど問題が山積である。これらの疑問を解決するには、ぜひ本書を熟読してほしい。

要点の二つ目は、『全球凍結イベントと生命の進化の歴史』である。唐突に生命なんて出てきて? と思われるかもしれないけど、この本を読めば分かるのではないかと思うけど、地球で生命が進化するにあたって、スノーボールアースが果たした役割は非常に大きそうだということがわかっている。例えば原生代のヒューロニアン氷河時代(約22億年前)ごろに、地球では大気中の酸素が劇的に増えて『呼吸する生物』が出現しただろうことがわかっているし、原生代エディアカラ紀の直前に起こったマリノアン氷河時代(約6億5000万年前)の直後にはエディアカラ生物群の大爆発と言う生命進化の一大イベントが起こった。おそらくこういった生命の進化に、全球凍結イベントは切っても切り離せないものではなかろうか、と言う話が散見される。
また、逆のことも言える。つまり全球凍結で地球の水がすべて凍ってしまえば、生命と言うのは絶滅してしまうのではないか、と言う話である。しかし、現在の研究では少なくとも30数億年生命は途切れることなく進化してきたことがわかっており、全球凍結中に生命が生き残る手段としてソフト・スノーボールアースと言う概念が導入されて議論されている。これら生命の進化と切っても切り離せない全球凍結についてもぜひ本書を読んで知識を身につけてほしい。

要点の+1は、本書では最終章に控えめに取り上げられているのだが『地球以外での生命の存在に関わる議論にこの著作が与える影響』である。今、まさにこの記事を書いている今日、たまたまNHKのクローズアップ現代で『土星の衛星、エンケラドスで地球外生命が見つかるかもしれない』と言うトピックが扱われた。が、このエンケラドスは星の表面が氷で覆われている『全球凍結状態』なのだ。と言うことは、地球での全球凍結イベントを詳しく調べることは翻って、宇宙にあまたあるといわれる氷惑星(または氷衛星)での生物の存在の可能性の議論に大きな影響を与えることになるのだ。

これだけ地学分野に大きくまたがって夢を与える話は、なかなかないことなので興味を持った方は是非読んでみてほしい。途中、見知らぬ言葉が出てきても今はネットで検索! で補足知識を加えることもたやすいので、ぜひ最後まで熟読してみることをオススメする。