紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)を撮影した話

久しぶりに、天体写真に熱中したのでその記録を備忘。
紫金山・アトラス彗星がそこそこ観望できるという噂を聞いていてけど、9月下旬ころは明けの空だったので早起きするのが面倒くさくてスルーしていた。
そしたら、10/12(土)にたまたま知り合いの写真展に見学に行った際に、そこにいた写真展主催者の方のお友達が「彗星、見えるよ」という話になり、夕方の空に見える時期になっていたので撮影に挑戦することにした。
結局、10/12~10/21まで晴れの日は近所の西の空が開けた場所に行って撮影することにした。

撮影機材は、カメラはFUJIFILM X-T5。レンズはXF16-80mmF4XF90mmF2およびSIGMA 100-400mmF5-6.3の3本を状況により使い分け。赤道儀は持ってないので、三脚に適当に据えて固定撮影。
そのほか、補助具として双眼鏡はPENTAXの7×50のポロプリズム双眼鏡。それから、天体探しにAndroidのアプリ、Star Walk 2を使用した。

最初に天体探しのアプリで検索すると、紫金山・アトラス彗星宵の明星(金星)うしかい座のアークトゥルスを目印に、その中間地点の線上をおおむね移動していて、10/12の時点では2つの星の中間地点より西の地平線側、と言うことが分かったのでその辺を重点的に探したが、結局見つからなかった。
翌10/13(日)、同じように探すと、
17:40に金星(宵の明星)が西南西に、17:50に夏の大三角が天頂付近に、18:00にアークトゥルスが西北西に、という順番で肉眼で見えるようになった。で、彗星のいそうなあたりを目安をつけたのだけど、西側の地平線の空には低い雲があることもあり、双眼鏡ではなかなか見つからない。そこで、その辺にカメラを向けてF4、4sec、ISO1600ぐらいで撮影してみたら、なんとなくぼんやりと彗星が写った!。
その後、その方角を双眼鏡で改めて観察すると、確かに存在をしっかり確認できました。ので、XF90mmにレンズを交換してやや拡大撮影。


X-T5/XF90mm/F2.0/1.5sec/IS0800
山裾が見えているのは、撮影地との位地あいからするとおそらく霧ヶ峰かなあと思う。

で、この日は写真を連射して58枚の写真をスタックしてみた。


X-T5/XF90mm/F2.0/1.0sec/IS0800/58枚画像をSequatorにてスタック現像

さすがにちょっと合成感が強いかなあ。でもなんか「大彗星!」っていう感じが出たので満足。合成に使ったソフトはSequatorと言う無料のアプリで、星空部分と地上風景を別々に認識して合成してくれる。
彗星の写真を撮ったといえば、1997年のヘール・ボップ彗星(C/1995 O1)以来だけど、デジカメでは本当に簡単に写ってくれるのは感動した。

翌10/14(月・祝)はさらにレンズをSIGMA 100-400mmF5-6.3に変えて拡大して撮影したりもしてみた。…が、結局彗星がはみ出してしまうほど大きかったので、こっちの望遠ズームはいらなかったかも、と言う感じでした。


X-T5/SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS|C/200mm付近/F4.9/2.0sec/IS03200/52枚をsequatorにてスタック現像
彗星が妙に赤くなってしまっているのは、夕日と同じで地平線際にいるからなのかな、と思う。

これは翌10/15(火)。

X-T5/XF16-80mm/16mm/F4.0/IS01600/5.0sec~1/13secの10枚の写真をスタック現像。

その後10/16(水)~10/19(土)は天気が悪くて撮影に行かず、最後に10/20(日)に撮影に行った。

X-T5/XF90mm/F2.0/1.0sec/IS06400、IO8000/125枚画像をsequatorにてスタック現像
この写真で満足できたので、今回の撮影は終了。翌日は庭先で最後に双眼鏡でしばらく楽しんで終わり、とした。

今回の撮影、すごく久しぶりだったのだけどとにかく驚いたのがカメラの高感度性能、そしてパソコンでの処理技術の発達。Sequatorと言うアプリがあれば、やたら連射だけして撮ってきた固定写真をガイド撮影かのように合成してくれるのは驚きだった。これがあれば、PENTAXのO-GPS1(2)を使ったアストロトレーサーを完全に代用できる。

10/20(日)の写真はよく見ると、左上に盛大に伸びている尾とは反対に、真下の方向へ少しだけ別の尾が伸びている。イオンテイルとダストテイルなのかなあ、とも思ったけどいかにもなイオンテイルの色はしていないし、ちょっと謎だった。

あと、10/20(日)の写真には、左下に星にしてはなんかもやっとしたものが写っている。
拡大するとこんな感じ。


なんか、等倍で見ると球状星団っぽく見えるけどなんだろうなあ、と思ってPCでStellariumを起動して、当日の彗星の位置をチェックしてみると、


これ、M12じゃんね
固定撮影した写真を加工したら、M12が写ってました、は正直びっくりした。星が流れないシャッタースピードで100枚ぐらい連射しておいてスタック現像すれば、あらかたのメシエ天体がガイド撮影もなく撮影できそう?
と言うことで今後しばらく固定撮影でメシエ天体を少し遊んでみようかと思ってしまった。

備忘:手持ちレンズを大幅に入れ替えた話

FUJIFILM X-T5導入から約1年近くたち、手持ちのレンズたちを6本売却して3本(あるいは4本)導入したので、その時に思ったこと等をメモ。

撮影システムをX-T1からフジに乗り換えてそろそろ7年ぐらい?経つが、なんとなくフラフラと変なレンズを買ったり売ったりしていたけど、ここで初心に戻って一回システムを固定しようと思った。
自分の中ではフジフィルムというメーカーはカメラの方のコンセプトはとても良いのだが、レンズの方は性能の良いものも揃ってはいるものの全体に大きく重い印象がある。そうすると自分は別にAFに頼った撮影をほとんどしないので、例えばレンズの方はMマウントのもっとコンパクトなレンズなんかをマウントアダプタ経由で装着することが多かった。
が、X-T5になりボディ内手振れ補正が載ってくると、Exif連動せず手振れ補正のために毎度焦点距離設定するのが億劫になってきた。
そこで、今回マウントアダプタ遊びはやめて素直にXマウントのレンズを使おう、ということで現在の手持ちレンズのほとんどを処分し、改めてXF 16mm F1.4(はX-T5購入後割とすぐに買ったが今回のここにも記載しておく)、Nokton 35mm F1.2(はレンズ発売時に予約購入して愛用していた)、XF 90mm F2(今回導入)、SIGMA 100-400mm F5-6.3(今回導入)、XF 16-80mm F4(今回導入)、というシンプルな手持ちラインナップに変更した。

処分したレンズは以下の通り。

COLOR-SKOPAR vintage line 21mm F3.5
デザインに惚れ込んで購入したのだけど、描写が優等生過ぎるというか、割と普通の写りだったので意外と使わなかった。フルサイズで使えば超広角なのだが、フジのAPS-Cで使っている分には換算30mmぐらいの平凡な広角レンズだしね。手持ち予算が潤沢だったら、お飾りとして所有を続けたのかもしれないけど…。
COLOR-HELIAR 75mm F2.5(Lマウント)
以前はペンタックスKマウントのSLバージョンを愛用していて、写りの良さ、コンパクトさが魅力でXマウント導入後はLマウントレンズの方を購入して使っていたのだが、前述の通り焦点距離設定(メニューからのレンズ設定)が面倒になってきたこともあり今回思い切って処分。
XC 16-50mm F3.5-5.6 OIS IIXC 50-230mm F4.5-6.7 OIS II
基本的に日常の写真はNokton 35mm F1.2一本で撮影しているので、MFでやっていられない時限定のような感じでバックアップとして使っていたレンズ。廉価レンズラインの割には画質は決して悪くなかったし、AFは遅めなのだろうけど自分にとっては動いてくれさえいれば気にしないレベルのお気楽ものなので問題はなかった。が今回シグマのライトバズーカを導入することにしたので50-230は不要になり、せっかくだからそれに合わせて標準ズームも差し替えしちゃえ、と決断してしまった。XCのこの二本のレンズはお気軽だし軽いし画質も良いし、で残しておいても使う可能性がないわけでもなかったが、まあそんな風に思って残してしまうと防湿庫の肥やしになりがちなので、今回思い切って処分した。
Tamron 272E 90mm F2.8 EFマウント、Fringer FR-FX2
フジのラインナップでは中望遠に自分の好みがない(XF 90mm F2は素晴らしいんだけど大きく重いことで二の足を踏んでいた、XF 80mm F2.8は大きく重いうえに口径食がボロボロであっさり手放してしまった)、超望遠ズームのラインナップが貧弱、ということでこの辺のAFレンズはEFマウントで代用しようと考え、Fringer FR-FX2を購入し、超望遠はシグマかタムロンのライトバズーカを、中望遠はキヤノンの単焦点あたりを、と考えていたのだが、目算が結構狂った。
まず、キヤノンの中望遠をマウントアダプタ経由で使っても言うほどフジのレンズよりコンパクトになりそうにもなかった。自分の中で中望遠のレンズのイメージのリファレンスはsmc PENTAX FA 77mm F1.8(レンズ内モーターがないこともあり、とてもコンパクト)なので、結局他社のレンズを見渡しても自分のイメージに沿うようなコンパクトなレンズなどなかったのだ。ということで、272Eは古いレンズだけど画質は折り紙付き(逆光性能以外は現代基準でも高性能だよ)だし、FR-FX2を余らせておくのもなんだし、と思って購入したのだが、やっぱり古いDCモーターレンズはひたすら駆動音がうるさかった…。実際にはMFで使うのがほとんどなんだけど、レンズ装着時に位置合わせのためにギャギャっと駆動音が発生するのがややうざかった。
また、超望遠はライトバズーカ系を…と思っていたのだが、意外にもEFマウントのライトバズーカ系は安い出物がなく、その後ミラーレス専用設計のシグマのライトバズーカがXマウントで出てきてくれてしまったことで、画質の妥協があるEFライトバズーカより、素直にXライトバズーカでいいじゃん、となってしまった。
ただ272Eを処分してしまうと手持ちのマクロレンズがなくなってしまうわけだが、ここはKマウントの72E/172E/272Eあたりか、DFA 100mm F2.8マクロあたりをそのうち安価に買ってExif連動なしで使おうかと思う。EFマウントだとExif連動するメリットはあるが、うるさいので不要と判断した。
APO-Lanther 180mm F4 SL
Kマウントデジタル一眼レフ時代にはめちゃくちゃ愛用したレンズ。コンパクトな単焦点レンズで、AE連動してくれるし、最短撮影距離1.2mとめちゃくちゃ寄れるので、素晴らしく使い勝手が良いレンズだった。…のだがミラーレスの時代になるとマウントアダプタ挟む分コンパクトさが損なわれるし、Exif連動はないし、で今一つ宙ぶらりんになってしまっていた。ので今回思い切って処分。Kマウントの人はこのレンズは素晴らしいので絶対使うべきだと思うけどね。

で、導入したレンズの購入動機は以下のような感じ。

XF 16mm F1.4 R WR
以前持っていたレンズ。僕にとっては換算24mmのレンズというのは、すごくしっくりくる焦点距離で常になんらかのリファレンスとして交換レンズだったり高級コンデジだったりという形で保有していたスペック。
このレンズも画質的には自分には文句なし。無理やり文句をつけるとすれば、若干フリンジが発生するのと近接時の中景ボケのいまいちさ、そして日中は気にならないが星景写真ではサジタルコマフレアが意外にたくさんでることぐらいだった。どちらかと言うと、「素晴らしいレンズなんだけどちょっとでかくて重いよねえ…」という点が気になって一度手放してしまった。
が、少し前によくよく思い返して、フジのシステムでは結局代替になるような製品などない(XF 16mm F2.8ならコンパクトかな、と思ったりしたことはあったが)し、よっくよくスペックを並べてだらだらと見ていたら、僕の中での換算24mmレンズの原典のレンズでもあるsmc PENTAX FA 24mm F2と大きさ重さはたいして変わらない(むしろXF16mmF1.4のが若干小さい)ということに気づき、「だったら気の持ちようで大きさ重さは気にならなくなるだろう」と改めて再導入を決めた。
実際のところ、AF-MFクラッチ機構はもはや現在のXシステムには不要と言えるのでその辺が刷新されたII型なんかが出たら買い替えを検討するかもしれないが、当面の間は相棒としてきちんとかわいがってやろうと思う。
XF 90mm F2 R LM WR
このレンズは今まで購入したことはなかったものの、一度六本木で借りて使ったことがあって、描写の素晴らしさは本当に息をのむレベルだということは知っていたが、何度も書いている通り「大きく重すぎるよなあ…」ということで導入を躊躇していたレンズ。
実際のところ大きく重い原因はリニアモーターを4発も積んでいたりするからだろう(僕にはそんなにAF速い必要はないんだけど)と思うが、最近NikonからPlenaが出て「口径食の少ないレンズの良さ」みたいなのが布教されるにつけ、「XF 90mm F2はXシステム版のPlenaレンズなんじゃないの?」みたいに自分の中で妙に盛り上がってしまって、「このでかさは口径食除去を頑張った結果なんだと思い込むことにしよう」と考えを改めて導入することにした。
結局のところ、僕の普段の撮影(スナップ)スタイルは「換算24mmの明るいレンズ、準標準~標準の単焦点、APS-Cで75mm~100mmぐらいの中望遠単焦点」を基本として成り立っているので、XF16mmNokton35mmXF90mmでうまく完結することになる。
SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS|C
少し前からXマウントにサードパーティが参入し、特に超望遠ズームはこのレンズとタムロンの150-500mmの発売で選択肢がだいぶ増えた印象。
僕は過去、あまり超望遠というのは使いこなせていないのだが、逆に自分の目線を広げるため、という屁理屈でこのレンズを導入することにした。
こっちはスナップというよりも、今後天体写真への再挑戦や野鳥撮影への挑戦等で活用していこうと思っている。
XF 16-80mm F4 R OIS WR
今回、なぜか気の迷いでこのレンズにまで手を伸ばしてしまった。屁理屈理論でいうと、①超望遠レンズが欲しくなり、SIGMA 100-400mmを購入する→②手持ちのXC 50-230mmが不要になる→③だったらXCのレンズ2本とも処分して、XC 16-50mmXF 16-80mmに差し替えちゃおうか、という変な論法である。
もともとこのレンズはスペックだけ見れば僕にとっては欲しいレンズの一つだった。焦点距離のリファレンスとして換算24mmが好きな僕は、18mm(換算27.5~28mm)始まりのズームレンズよりも16mm(換算24mm)始まりのズームレンズが絶対、という信条があり、だからこそ今までXC 16-50mmを愛用していたのだが、X-T5を導入し大満足するにつけ、今後もシャッター速度ダイヤル付きのカメラを使い続けるだろう、ならば絞りリング付きのレンズをきちんと持った方がよかろう、ということでこのレンズに改めて着目した。
このレンズは発売時にも着目していたが、画質がいまいちという評価が出ていったん興味を失っていた。あと若干大きく重いし、最短撮影距離があと5cm10cm寄れれば…と思っていたところだったのだが、結局のところ僕の普段使いは常にNoktonであり、XC 16-50mmであろうとXF 16-80mmであろうとバックアップレンズの意味合いが強く、持ち出す機会がある程度限定されるのならその時ぐらい大きさ重さは妥協があってもいいのではないか、また立ち位置がバックアップということはお便利ズーム的扱いでもあるということだから、そんなに画質にも目くじら立てなくてもいいじゃない、と気づいた。それよりも完全に万能なスペックを愛でてやろうと。
そんなことからひょんにこのレンズまで導入してしまった。
このレンズはレンズ交換が限定されるイベントとか家族とのお出かけ、あるいはシグマ超望遠と組みあわえて風景写真を撮りにお出かけするときに活用する目論見。

という感じにまあ大幅なシステム入れ替えを断行してしまった。これで自分の撮影スタイルはほとんどカバーできる形になったが、もし今後システムに追加するレンズがあるとすれば、中望遠のマクロと超広角ズームになるかと思う。
中望遠のマクロはタムロンの90mm F2.8の1万円アンダーなものでもそのうち見繕えば十分だし、あるいはXマウントへのサードパーティ参入の中でシグマやタムロンからXマウントマクロが出れば購入対象になると思う。
超広角ズームは利用用途的に星景写真が想定されるので、明るさを求めてSIGMA 10-18mm F2.8 DC DNになるか、あるいは超広角ズームでスナップも楽しいのでXF 10-24mm F4にするか…まあまだだいぶ先の話になりそうなのでゆっくり検討しようと思う。

ということで、新しく導入したレンズは試写を含めたレビューを何本か書こうと思う。

FUJIFILM X-T5簡単なレビュー

富士フイルムのミラーレスカメラ、X-T5を購入したので簡単にレビュー。

今まではX-T2を使っていて、X-T3は買い換えようかと思ったけどX-T2に買い替えてからあまり時間が立っていない時期の発売だったので結局見送り、X-T4は個人的に希望とかなり異なる形の製品だったので見送った。
それらに比べて、X-T5は原点回帰のキャッチフレーズ通りほぼX-T1サイズの縦横サイズまで小型化し、重さもボディ無い手ブレ補正装置が入っている割には頑張った軽量化なので、とても魅力的に写った。ちょうど製品発表になった時に東京に旅行に行っていて、丸の内でタッチ&トライもできて非常に満足だったので、即予約購入。

実際に製品が届いて外観・操作性的に気になったところは以下の通り。

シャッターレリーズ、電源レバーの部分の円柱の高さが低いX-T2は3mmぐらい高さがあったように思うが、X-T5は1mmぐらいしか高さがない。結果、電源のON/OFFはやや回しにくくなった印象。また、シャッターレリーズの感触も妙にギクシャクしていて、半押しまでのストロークが何故か伸びたような印象を受ける。慣れてしまえばそれほどでもないのだろうけど、今までの操作性で不満がなかったのでこれはいまいち。

・軍艦部のデザイン、X-T4のやたら横に間延びしたデザインは嫌いだったが、X-T5もなにか違和感がある。ネットでは塗装が変わった(縮面、梨地塗装からツルッとした塗装になった)ので安っぽく見える、という意見が多いようだが、僕には塗装はあまり気にならなかったが軍艦部正面上側の面の角度が変わったのがとても気になった。今までの機種はこの面が概ね70~80度ぐらいに立っていたのが、X-T5は20~30度ぐらいに寝ていて、この台形面の面積がとても大きい。言うなれば、リーゼントスタイルっぽい感じ。いわゆるトラディショナルな一眼レフはここは切り立っているものがほとんどかと思うので、造形はもうちょっと工夫してほしかった。

・その他、ボタン類の操作は全般的にいまだにいまいち。前後ダイヤルやシャッターダイヤル、ISOダイヤルはそれほど悪くないのだけど、プッシュボタンは感触が安っぽい。十字ダイアルなど、クリック感が弱く遊びがあるような感じがする。もっと頑丈に、クリック感を強くしたほうがいいと思うのだけど…。
また、シャッターダイヤル・ISOダイヤル・露出補正ダイヤルはダイヤルの円柱の高さが少し小さくなったようだけど、操作性を考えるならもう少し高いほうが操作しやすいと思う。特に、露出補正ダイヤルはもう少し盛り上がっている方が好み(その場合、ご操作のリスクも増えるのだろうけど)。あるいは、円柱は高くしつつ上部をすぼめるように造形してバランスをとるという方法もあったわけで…(個人的にはダイヤルの上すぼまりデザインは好きではないのでこのままでいいのだが)。

・ボディ内手ブレ補正装置の分、今までより厚みは増しているのだがそれほど違和感はない。あえて言うならリアダイアル、AF-ONダイアルは操作性が配慮されているように思えるが、そこを押そうとすると右手の親指の腹の部分が引っかかって邪魔な印象があって、やっとボディの厚みが増してるのを実感する感じ。

・シャッター音は、X-T2と比較しても格段に小さくなった。ネットではシャッター音が安っぽいと言われているようだが、タッチ&トライのようにシャッター音に注視しているときはともかく、普段撮影するときは単純にシャッター音が小さくささやくようになった印象でしかなく、安っぽさは感じない。モデル撮影でシャッター音でモデルの気分を盛り上げるには向かないのかもしれないが、街角スナップでそっと撮影するにはこの仕様は悪くない。個人的には、「この機種は実はレンズシャッター機なのだ」と思い込むようにしている。そのぐらいささやくシャッター音なのだ。基本的にシャッター音が小さくなるというのは、フォーカルプレーンシャッターの進化とボディの凝縮・防塵防滴処理の掛け合わせなので好ましいことだと思っている。

全体的に、凝縮感が強く端正な雰囲気が漂い、NOKTON 35mmF1.2との組み合わせはピッタリ。長い相棒として付き合っていけそうかな、ととても気に入っている(もちろんX-T6として出てくるであろう後継機が魅力的なら買い替えるが、基本的にX-T5の内容で僕の希望はほぼ全て網羅された形になってしまったので、後継機はよほどの魅力が追加されないと買いにくいかもなあ)。

カメラのメニューセッティングの方は現在煮詰め中なのでもう少しやりくりしてからまとめようと思っているが、現時点のざっくりとした所感では

・40Mピクセルという超解像性能は持て余すかと思ったが、カメラ内で使う分にはデータの重さなど全く感じさせない処理速度なので満足。手元の64GBのSDXCカードで、F+RAWの設定で906枚撮影できるので、当面は問題ないかなあと思う。そのうち、128GBに買い換えようかな。

・フィルムシュミレーション・ダイナミックレンジ等々の設定は膨大すぎて煮詰めるのに時間がかかるなあ。ムック本が出てレシピなんかが公開されたらそれを参考にしようと思っている。今の時点では、X-T2はシャドー側をかなり浮かせる設定にしていたので、逆にX-T5もシャドーが少し沈みすぎているように勘違いしてしまう。
カラークロームエフェクト(そろそろカラークロームレッドに名称改めたほうが良くない?)、カラークロームブルーはどう使いこなしていったらいいのか大いに悩む。
明瞭度設定はONにすると処理反応が落ちるみたいなので、必要ならボディ内ではなくPC側で処理かなあ。スムーススキンエフェクトも当面使う予定はなし。

・僕はMF主体(というかほぼMFだけ)で撮影しているので、フォーカスレバーやフォーカスチェック機能等で効率よくピント位置を拡大できる操作方法をどうしようか悩んでいるのだけど、ぱっといじくる限り、X-T5では
フォーカス設定フォーカスチェックをONにすると、ピントリングを回すたびにフォーカスポイントが拡大される。AF撮影主体でMF微調整する人にはよさそうな機能だが、僕のようにピントリング回しまくる人にはピントリングを回すたびに拡大され、ファインダー内が騒々しすぎてイマイチだと思った。
■どこかのファンクションボタンフォーカスチェック機能を設定すると、ボタンを押すためにフォーカスポイントが拡大/縮小される(初期設定ではリアダイヤルのプッシュに割り当てられている)。X-T2ではこの機能を十字ボタンの上に割り当てていた。この機能で十分なのだが、いろいろ操作してみたところ、AF-ONボタンやリアダイヤルプッシュに割り当てると右手親指が若干窮屈な印象を受けた。また、AE-Lボタンは位置的に良いのだがこのボタンの出っ張りが少なく、親指の触感ですぐ見つけにくいのが難点あるいはAE-Lボタンに何か装飾のシールでも貼って分かりやすくするといいのかもしれない。
■今回、X-T5ではフォーカスレバー(ジョイスティック)押下時に「拡大/縮小」を割り当てることができ、これがフォーカスチェック機能と同等になる。これに組み合わせてフォーカスレバー操作を「AFポイントダイレクト移動」に割り当てることで、フォーカスレバーを8方向グリグリ動かして拡大する位置を決めた後、レバー押し込みでピント確認がとてもスムーズにできる。何しろ、フォーカスレバーは一等地にあるので、この操作が今のところとても気に入っている。
この設定はあくまでMF主体の使い方で、AF主体の使い方では別の割当のほうがいいのかもしれないが、当面上記3つめのフォーカスレバー割当で使い込んでいこうと考えている。

COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount 簡単なレビュー

待望のフジXマウントの電子接点に対応するCOSINA Voigtlanderレンズ、NOKTON 35mm F1.2 X-mountが発売になったので、さっそくレビュー。
使用カメラボディはX-T2。

なお、使用前に
コシナ、Xマウント用フォクトレンダー第1弾「NOKTON 35mm F1.2」を8月に発売。
にある通り、
[1] 絞り値の表示をT値からF値に設定
【メニュー】→【セットアップ】→【表示設定】→【シネマレンズ使用時の絞り単位】→【F値】
[2] 被写界深度表示をフィルム基準に変更
【メニュー】→【フォーカス設定】→【被写界深度スケール】→【フィルム】
に変更しておいた方がいいらしい。
[1]を【T値】にしておくと、開放でT1.3と表示される。[2]は【ピクセル基準】にしておいてもピントの合う範囲の表示が狭くなるだけで実用上はあまり問題なさそうに思う。
その他、
[+α] シャッター方式をM+Eにする
【メニュー】→【撮影設定】→【シャッター方式】→【MS メカニカル + ES電子】
にしておかないと、メカニカルシャッターが1/8000まであってもF1.2ではすぐ露出オーバーになるので電子シャッターを補助的に使うようにしておいた方がいい。

あと、使用してかなり最初に気づいたが
・ピントリングの感触が独特。MF特有のトルク感はあるが、普通のMFレンズにあるいかにもグリースの粘りの感じがない。グリグリ、という感触ではなくサラサラ、とした感触。これはVoigtlanderの割と新しいレンズのCOLOR-SKOPAR vintage line 21mm F3.5と比べても違う。
で、しばらくいじっていて気付いたが上記の設定にもあるとおり、このレンズはピント位置(距離)情報を電子接点でボディと通信している。ピントリングを動かすとファインダー内の距離スケールが連動して動くし、X-Pro3をお借りして装着してみたらピントリングの移動に合わせてブライトフレームの位置が連動した。と言うことは、ピントリング内に距離エンコーダが入っていて、おそらくグリスは封入されてないんじゃないか、と言うこと。なので製造の緻密さでしっかりトルクを出す一方で、グリスの粘り感がないのじゃないかと思う。
ピントリングがオーバーインフまで回る。普通のMFレンズはピントリングを回しきったところが無限遠なのだが、このレンズは無限遠の少し先まで回るので、遠景を撮影するときに無頓着にピントリングを回すのではなく、ちゃんとピント合わせをしないといけない。この辺は上記と同じく距離エンコーダが入っていたりする関係なのだろうか? 正直、MFレンズなので回しきったら無限遠の方が操作は楽なのだが…。

【2021.11.28追記】
グリスの件については
https://www.cosina.co.jp/voigtlander/x-mount/nokton-35mm-f1-2/

高い精度で加工・調整された総金属製ヘリコイドユニットと、適度なトルクを生み出す高品質グリースの採用により、滑らかな操作感覚のフォーカシングを実現。微妙なピント調整を可能にしています。

とあるのでグリス使っているみたいです。高品質だからか、粘り気感はほとんどないけどね。
【2021.11.28追記ここまで】

また、今まではほぼ同じスペックの7artisans 35mm F1.2を使用していたので、COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mountとの違いをレンズ構成図から先に見ておく。

7artisans 35mm F1.2については、
http://www.stkb.jp/shopdetail/000000001162/より引用。

端的に言えばエルノスター型の光学系で一番後ろのレンズを三枚玉にした、と言う感じ。ここではゾナー系レンズとして説明。

COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mountについては、
https://www.cosina.co.jp/voigtlander/x-mount/nokton-35mm-f1-2/より引用。

端的に言えばダブルガウス型光学系(プラナー光学系)で絞りの前後に一枚ずつ補正レンズが入っている感じ。

光学系で見ると両者は全く異なることになるけど、大雑把に両者の光学系の特徴を書くと
ゾナー光学系:
メリット
■ 明るいレンズ(F2未満)を作れる
■ 貼り合わせレンズを使うことでレンズと空気の境界面を減らし、レンズコーティングの技術の低かった時代にはフレア・ゴーストの少ないレンズを作れた(このレンズに関しては張り合わせじゃないけど)
デメリット
■ バックフォーカスが取れないので、一眼レフ用標準レンズとして作るのは無理だった(ので一眼レフ用中望遠レンズの一部としてしか生き残らなかった)

ダブルガウス光学系:
メリット
■ 明るいレンズ(F2未満)を作れる
■ ゾナー光学系に比べるとバックフォーカスを取れるので、一眼レフ用標準レンズとして作ることが可能。
デメリット
■ レンズと空気の接合面が多いのでレンズコーティングの技術の低かった時代にはフレア・ゴーストを低減するのが困難だった(いまではほぼ問題ではない)

と言う感じ。ミラーレスの時代になり、バックフォーカスの問題がなくなったので7artisans 35mm F1.2はゾナー光学系にしたというところが面白い。一方でコシナは古典的と言うかダブルガウスに拘ったまま明るくしたというのが面白い。
いずれにせよ、現代的なF1.4以下の明るい超高性能レンズの場合、さらに発展してダブルガウス光学系の前後に補正レンズのための凸メニスカスを多数配置してデカ重だけど高性能、なんてのが多いのでそれに比べれば開放では収差を許容して絞りによる描写の変化を楽しむことが主体のレンズだということが(両者とも)わかるかな。

閑話休題。まず、外観や操作感から。

外観は意外と平凡な印象。XF35mmF2あたりとパッと見は違いに気づかない人がいるかもしれない。しっとりとした色合いの黒がボディによくマッチしているが、あまり主張はない。とはいえ、よく見ていけば距離指標などがしっかり掘り込みで美しいことには気づくのだが。
操作感は素晴らしいの一言。ピントリングもややサラサラした上質な操作感だし、絞りリングも適度なトルク、適度なクリック感が素敵。ここ最近は7artisans 35mm F1.2を使っていたので、もちろんこっちも操作感はMFレンズとして決して悪くはないのだが段違いの心地よさを感じてしまった。特に、デクリックな絞りに半ばあきらめの境地にあった中で、絞りリングのクリック感が心地よい。やっぱ写真用レンズは絞りリングにクリック感がないと。
今のところは操作に慣れていない点として、絞りを変更するときに思わずEVFから一旦目を離して絞りの数字を直接確認してしまう。今まで電子接点のないMFレンズを使っていたので完全にお作法化していて、このレンズはファインダー内にちゃんと絞り値が出ていることにまだ馴染まないのだ。まあ、そのうち馴染むだろうけど。

フィルターは特につけるつもりはないけど、特殊効果用フィルタとしてC-PLとIR76を。


出来ればZeiss POLが欲しかったけど46mm径のはなかった。


赤外線フィルターは結局レンズで想定している波長域を使うわけではなく、解像が落ちるので高価な日本製を買う必要はないと考えている。今回はIR72ではなくIR76にしてみた。このレンズは開放F1.2なので赤外線フィルタをつけても手持ち撮影ができる。

あと、フードも。


装着するとかっこいいんだが、C-PLフィルタと併用するとレンズフードがグルグル回ってイマイチなので今はいったん外している。将来的に、C-PLの方をつけっ放しにするか、フードの方をつけっ放しにするか悩むところ。


せっかくなので無駄に広角フードも買ってしまった。フード効果は極端に落ちるが、装着した時はこっちのがかっこよい。


この水平型は買ったけどまだ届いていない。

おまけで、レンズキャップ。


フォクトレンダーの46mmレンズキャップは現時点で終売しているので、ニコンのレンズキャップを使っている。キャップはわりかし落とすので。

と言うところで、描写感や使い勝手のレビュー。
今回は、今まで手持ちしていたほぼ同じスペックの7artisans 35mm F1.2と、おまけでsmc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedとの違いも一部書いておく。

まず、周辺減光について。jpg撮って出しだと周辺減光がわずかにある感じだけど、RAWをAdobe CAMERA RAWでストレート現像してPhotoshopで保存するとはっきりと周辺減光がある。カメラ内の電子補正がよく効かせてあるのだなあと分かる例だ。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F1.2
jpg撮ってだし。周辺減光はわずかにあるがあまり気にならない。が…


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount Adobe CAMEREA RAW F1.2
これがAdobe CAMEREA RAWで現像するとこうなる。Adobe CAMEREA RAWってレンズプロファイル自動適用で周辺減光など撮ってだしと同じように補正されるものだとばかり思っていたが、このレンズにはまだ対応していないのだろうか…。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount Adobe CAMEREA RAW F1.4


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount Adobe CAMEREA RAW F2
減光範囲は四隅にかなり追いやられるが相変わらず周辺減光はしっかりわかる。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount Adobe CAMEREA RAW F2.8


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount Adobe CAMEREA RAW F4
完全に周辺減光が消えたわけではないがここまで行けば気にならないだろう。

次に、近接時の描写について。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F1.2
ssが妙に遅いのはCPLフィルターつけてたことを忘れてたから。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F2.8


7artisans 35mm F1.2 F1.2


7artisans 35mm F1.2 F2.8

ラーメンの具材では必ずしもピント位置がよく撮れていないので、丼の縁の描写なども参考にしてほしい。F1.2では、ピント面の乗りはCOSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mountに若干軍配が上がる。ボケの素性の良さは甲乙つけがたい。いっそのこと開放は7artisans 35mm F1.2の方が画面全体の緩さ、ボケの感じでは相性が取れていていいくらいかもしれない。F2.8ではCOSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mountの方がかなり引き締まる(と言うか、7artisans 35mm F1.2の方は絞り指標をF2.8にしたはずだが明らかにF2.8よりは開いたボケ具合だ。この辺は7artisans 35mm F1.2は大雑把だろう)。


smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited F1.8
おまけでsmc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limitedも。間違えて焦点距離設定35mmのまま撮影してしまった。このレンズ、ペンタの一眼レフに載せるとこの焦点距離明るさの割にコンパクトなのだが、さすがにフジに装着するとマウントアダプタの重さやら本来フルサイズ用でAPS-Cサイズ専用ではないのでかなり大きく重くなる。
しかし描写は恐ろしく素晴らしい。ボディ内でレンズ内の補正なんか何もいらないレベルで優秀。ついでに言うと、フルサイズ用のレンズなので上記2本のレンズと比べると周辺光量の豊かさも全然違う。
これでこのレンズはF4ぐらいまで絞るとカリカリの描写になるので、これはこれで優秀なレンズ。早くPENTAX K-3 mkIII買って使いまくりたいなあ。

次に、中景の描写。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F1.2
被写体位置まで2mぐらい。開放でもわりかしよく解像していると思う。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F5.6
ここまで絞れば解像も文句なしだが、F1.2の浮き出てくるような立体感の方が面白いか?

まあまあ遠景の描写。7artisans 35mm F1.2と比較。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F1.2


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F5.6


7artisans 35mm F1.2 F1.2


7artisans 35mm F1.2 F5.6

被写体まで10mぐらい離れてるかな。7artisans 35mm F1.2は開放で盛大にゴーストが。F4でもゴーストは消えず、F5.6でやっと目立たなくなった。この辺はハレ切りやフードである程度対策は出来るとは思うが。あるいはゴーストが出やすい方が面白い写真を作れるととらえるか。一方でCOSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mountはピントの山を探すのが大変。この写真でも若干ピントを外している感じがする。F5.6まで絞ると、周辺部までCOSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mountの方が安定しているようだ。7artisans 35mm F1.2はF5.6でも周辺部が若干流れる。

その他、自由作例。

COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F1.2
FSクラシッククローム+グレインエフェクトがあるはずなので描写のサンプルにはならないけど、ドピーカンの晴れと言うコンディションなのでこれでss1/32000(ISO200)。
錆びた機械の質感と立体感はいいと思うのだが、こんな被写体でシャッタースピードカンストするので注意。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F1.2
トンボを最近接で撮ろうと、ピントリング回しきってジリジリと近づいていくのが楽しい。トンボが逃げそうで逃げないところでピントが微妙なのを何枚か連射。仕上がりはトンボのお尻が背景に溶けていってしまう感じで面白い。似たような感じでF2まで絞るとトンボの頭まではだいぶくっきりになるだろう。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F1.2


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F2
F2ぐらいまで絞って葉脈がぱっきり写ってる方がいいかな。絞りコントロールで遊べる典型例で楽しい。


COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mount F1.2
コスモスのサンプル写真は5チャンネルの方にあげたけど、レンズの届いた時期がそろそろコスモスの終わりの季節だったので今一つだった。ボケはとてもきれい。

COSINA Voigtlander COLOR-SKOPAR vintage line 21mm F3.5 Aspherical VM 簡単なレビュー(富士Xマウント)

COSINA Voigtlander COLOR-SKOPAR vintage line 21mm F3.5 Aspherical VMを買ったので簡単にレビュー。
なお、使用はフルサイズマウントではなくFuji Xマウント(Fujifilm X-T2)なのでAPS-Cサイズでの使用。

もうそろそろ発売になるが、COSINA Voigtlander NOKTON 35mm F1.2 X-mountが発売になるので、それに合わせて手元のレンズラインナップを再構築中。
将来的には、XF10-24/XC16-50/XC50-230/XF70-300/XF2XTCと純正レンズを買いそろえて、NOKTON35F1.2X/COLOR-HELIAR75F2.5Lとそろえようと思っている。
で、そんなことを妄想しながらレンズをいろいろ見ていたら、vintage lineの21mmが欲しくなってしまった。換算32.5mmなので、あまり得意な画角ではないのだが(僕は換算28~35mm画角はあまり好きでない、PENTAX FA31mmはAPS-Cで使うなら最高に使いやすいのだが)、このレンズは発表になったときもめっちゃかっこいいと思っていて、ぜひ欲しいと思っていたのだ。
で、他の中華レンズをほとんど処分したのに合わせて思い切って買ってしまった。

ついでに、マウントアダプタはVoightLander VM-X Close Focus Adapterを購入した。

富士純正のMマウントアダプターも持っているのだが、別に純正だからと言うほどに使い勝手が良いわけでもない(焦点距離変更用のボタンとかついているが、シェーディング補正とかは使うこともないし)し、ならばMマウントレンズでだいたいの場合に泣き所となる近接性能を補うマクロフォーカシング機能がついている方が魅力的に覚えたからだ。

で、装着した感じはこんな感じ。


VM-X Close Focus Adapterも合わせて、シルバーと黒の縞々が繰り返しながら先端の方に向かって先細りするデザインになった。写真にするとなかなかかっこいいのだがぱっと見は先細りで弱弱しく見えるので、フードを追加してみた。


フードはバヨネットで装着できる純正もあるのだが、あまりかっこよさそうに見えなかったのでamazonでよく売ってる穴あきタイプの金属フード。このレンズの場合はフィルター39mm径で。このタイプの穴あき金属フードは広角用の薄型と標準用の厚み普通型が売っているけど、まあ広角レンズなので広角用の薄型が無難だと思う。

デザイン的にはこのフード付きの方が好き。バッグの中にしまうのには若干出っ張りが増えるが、取り出すときにレンズとフードの間の段差のところをがっと握って取り出せるので楽かもしれない。飽きたらフード外すかも。

使用感としては、ピントリング、絞りリングはやや軽め。小型のレンズなのでこんなもんか、と言う軽さ。絞りリングにクリック感があるのは気持ちいい。最近は動画用だったり手抜き工作だったりで絞りリングがクリック感のないタイプが(特に中華では)多いけど、やっぱり絞りはクリックがある方が写真レンズらしくて好きだな。

と言うところで、描写感や使い勝手のレビュー。

とりあえずラーメンでテーブルフォト。これでVM-X Close Focus Adapterを使わない最短撮影距離。50cmまで寄れるのだが、より感としてはもう一つ寄りたい感じだ。


VM-X Close Focus Adapter併用でまあまあな撮影距離に。実際にはもっと寄れるが、そんなに寄っても仕方ない感じ。
F3.5のレンズなのもあり開放からパキパキによく写る。レンズの味とか考える要素なし。ここのところ、こういう写真は35mm(換算50mm)でばかり撮っていたので、イマイチ感覚がつかめない。

次は遠景のサンプル。

開放F3.5。

F5.6。

F8。

F16。
全部ピントは無限遠固定。左下の草あたりを等倍表示して比較するのが手っ取り早いと思うけど、絞ろうが描写はほとんど変わらない。APS-Cでは周辺までパッキパキ。あえて言うなら開放F3.5はAPS-Cで使っても若干の周辺減光がある
購入前、このレンズに関するレビューがネットにあまり転がってなくてなんで不人気なんだろうなあと思ったが、自分で買ってみて分かったがこのレンズはデザインはかっこいいものの写りが完璧すぎてレンズの味とかなにもないので語るところがないのだなあ、と思った。周辺減光を気にしなければ常に開放で使って問題ないかなあと(広角だから被写界深度深いしね)。
21mmの開放F3.5で、許容錯乱円をAPS-Cなので0.02mmで計算すると過焦点距離6.3mで、ピント位置を6mぐらいに設定しておけば3m~無限遠がピント範囲になるので、この設定でピント合わせのことは忘れてスナップするのもいいかもしれない。


撮影日は寒冷前線の雨が抜けた後のピーカンの晴れ(大気中のチリも落ちたのでピッカピカだった)だったのだけど、逆光で暗部はストンと落ちた。このレンズのコントラストはしっかりしてる。曇りぐらいの平べったいコンディションの光の方が扱いやすいかもね。あまりしっかりテストしていないけど、逆光に伴うフレアやゴーストも心配する必要はないだろうなあ。


改めて近接のサンプル。稲穂でテスト。最短撮影距離50cmでこんな感じ。


VM-X Close Focus Adapter併用でこんな感じ。レンズ前1cm(最短撮影距離10cm未満?)とかのレベルなので、まったく実用ではない。レンズの影が被写体に落ちちゃう感じ。アダプタ併用すると近接の心配はいらないですよ、程度の話かな。


当たり前だけど歪曲収差はよく抑えられている。