FUJIFILM X-T1簡単なレビュー(1) 初回購入時に合わせて買ったものなど

X-T1と一緒に買ったものや今後X-T1と一緒に使う前提の物などの簡単な紹介。

・FUJIFILM X-T1 本体
マップカメラで新品同様のコンディションの良い中古を購入。購入後、確認してみたが傷やアタリはほぼなかった。ほとんど未使用で流れたものかと思いきや、最初の撮影ファイルのカウントが8000枚ぐらい進んでいたので(途中リセットがあったかなどは分からないので、これが正式なシャッターカウントかは不明)、大切にされながらも意外に使われたものだったっぽい。
グラファイトシルバーも検討した。今の中古流通価格だと1万円程度しか変わらず、流通数も意外なほど多い印象だったが、こだわった塗装と言う割には商品説明にカスリありの品が多く、意外と塗装膜はよわそう?と思ったので今回は無難な黒を選択した。
縦グリップは今までPENTAXボディを買うときは新品で縦グリセットが安かったのでよく買っていたが、いつも買ってもほとんど使わないので今回は見合わせることにした。

購入後の最初の印象としては、非常に魅力的なサイズ感である。さっそく防湿庫の中からPENTAX MXを取り出してきて並べてみたのだが、サイズ感が本当によく似ている。僕にとって原点回帰だなあと感じた。
細かいことを言えば、X-T1の方が若干横幅が狭く若干高さが高い(肩も高い)。厚みはほぼ同じ感じ(MXの方はミラーボックス分のでっぱりがあるがそこを含めないと厚みはホントに良く似ている)。
PENTAX MXOLYMPUS OM-1に対抗して縦横高さを1mmだけつめたサイズになってるとかだったはずで、やはりこの辺が小型ボディとしてのベンチマークなのだろうか。
ペンタ部はPENTAX MXはとんがり帽子だけどFUJIFILM X-T1は幅広帽子で、感じとしてはX-T1の方はPENTAX LX(FA-1)辺りによく似ている。かっこいいです。
重量もPENTAX MXとほとんど誤差の範囲に感じる。

X-T1を少し触ってみてもう一歩と感じたのは塗装の仕上げ。ピーチスキンにも似たざらっとした仕上げだが、高級感が今一つ。PENTAX K-5辺りの梨地塗装の方が高級感があった。また、フロント・リアの電子ダイアルやFnボタンが全体的にのっぺりしていて、操作感がない。触った時に引っかかりがなくいいと言えばいいのかもしれないが、操作しようとしたときに手探りで当たりをつかめないのでいまいちかと思う。
X-T2になって肩のシャッターダイアル・ISOダイアルの高さが増していて、そんなに高くする必要はないのでは?と思って見ていたが、X-T1を操作していてなぜそうなったか分かった。どちらのダイアルも別に操作性が悪いことはないのだが、特にISOダイアルの方で回した時にその根元にあるドライブダイアルも一緒に回してしまうケースがあったのだ。二階建てダイアルの下側の誤動作を防ぐためのダイアル高さの改定なんだなあとよく分かった。
シャッターボタンはいかにもクラシカルで、右肩の水平面からまっすぐ上に伸びているが、今どきのモダンカメラの軽く斜めに取り付けてあるシャッターレリーズに慣れた身としては、最初若干押しにくく感じた。なるほど、モダンカメラのユニバーサルデザインには意味があるのだと感じさせる。解決法としては、撮影時に右腕を斜めに伸ばさず地面に垂直に立てるように少し緊張感を持って構えると良いようだ。これはこれで撮影に緊張感を持てていいのかもしれない。

・アイカップ EC-GFX
アイカップは初期段階ではEC-XT Sがついているのだが、別にこれでも問題はないと思う。XT-2に標準につくEC-XT Mや大型のEC-XT Lについては、角型のアイカップはあまりかっこよくないよなあと思って見ていた(以前はPENTAX K-5等に丸型アイカップのつくマグニファインダを装着していた)。すると、ちょうど良いタイミングでGFX用の(X-T1とも互換性のある)EC-GFXが発売開始になったので、さっそくこれを購入することにした。
これは丸型でいい感じである。目に触れる部分のゴムも非常にしっとりと柔らかく、装着感最高である。でもこのゴム、劣化が若干速そうな心配はあるかな…いまから心配しても仕方ないが。

・ベースプレート MHG-XT Small
ベースプレートに関しては、アルカスイス互換のプレートは欲しいなあ、でも別にグリップの厚みを増すタイプの入らないなあ、と言うことでただのプレートだけのMHG-XT Smallを購入した。ちょうどマップカメラで並品の中古が3000円程度で出ていたので安く済んだ。
で、買ってみて気づいたのだがこのプレート、追加でハンドグリップを装着できるような構造になっていない。よくあるアルカスイスプレートだと右側の端にストラップを通すストラップホールがついていて、そこを利用してグリップストラップをつけられるのだが…ちょっと困った。改めてサードパーティ製品なども見てみたが、X-T1用のはストラップホール無しの物ばかりのようだ。と言うのも、底面にあるバッテリー交換部と右端のクリアランスが少なく、ストラップホールをつけるには若干苦しいようだ。
とは言え、ネットで検索すると無理やりプレートを削ってグリップストラップをつけている人もいるようなので、僕も挑戦したい。金属加工はまともにやったことないので少々不安だが…

・背面ガラスフィルタ Deff Professional GLASS 東京カメラ部推奨モデル for FUJIFILM 02 DPG-TC1FU02
X-T1自体、背面LCDのガラスは強化ガラスらしいので別にさらに貼る必要もないかもしれないが、まあ転ばぬ先の杖と言うことで。やっぱり何かしらのフィルムやガラスを貼らないと背面LCDの上の反射防止コートが擦れて剥げてくるとか言う話もあるようだし。

・バッテリ NP-W126S x2
とりあえず中古購入のX-T1にはバッテリNP-W126もバッテリ充電器も欠品なく付属していたけど、まあ交互に使うことになるだろうし、とNP-W126Sを一個購入。で、少し使ってみた印象だとバッテリ消耗はかなり速そうなので、今回はバッテリ2個ループではなく3個ループにすることにして、もう一つ買い増した。
なお、X-T1の設定で消費電力設定→ハイパフォーマンスはONにしているし、プリAFもONにしているので、デフォルトよりもバッテリ消耗は速い設定になっている。バッテリ節約するよりも、撮影時にレスポンスが良い方が気持ちいいからだ。

・ストラップ ARTISAN&ARTIST 片吊りハンドストラップ ACAM-290
とりあえずグリップストラップがつけられないのでハンドストラップを装着。でもこれで軽快だしいいのかもしれない。
ARTISAN&ARTISTのイタリア革ストラップは結構お値段が高いが、品質はかなり良く、このハンドストラップではなくネックストラップの方になるがもう15年以上使っていてもいい感じにエイジングだけ進んでかっこいいストラップになっているものもあるので、ためらっている方は買ってもいいと思う。

・FUJIFILM X-T1用ストラップリング・カバー・補助具セット
今回の中古で購入したX-T1なのだが、唯一同梱品の欠品として「ストラップリング取り付け補助具」と言うのがなかった。と言うか、今までこんな治具があることを知らなかった…三角環や丸環の取り付けは爪でリングをこじ開けて広げて取り付けていた(そしてしばしば爪が痛くなった)。ので興味を持ち、「補修部品扱いでいいので取り寄せてもらえないか」とマップカメラに相談したところ、快く応じてくれた。大感謝。ので現在取り寄せ中である。

・レンズ XF 35mm F1.4 R
レンズは悩んだが、最初は標準の明るいレンズをチョイスしてみた。購入前は焦点距離の近さや大きさ、同じ金属外装からFA31mmF1.8Limitedをベンチマークとして想像していたのだが、到着してもってみると思ったより軽い。FA31mmF1.8Limited345gXF35mmF1.4R187gなのでそりゃ違いますよね。
触った印象としては、金属外装を謳う割には少々安っぽいかなあと。ペンタのリミテッドレンズの方が金属が厚いのかなあ。重厚感がありました。
ピントリング・絞りリングもとりあえず操作性は悪くはないが、もう少しトルク感あってもいいかもしれない。このレンズの場合、ピントリングも絞りリングも機械的には連動しておらず電動エンコーダになっているようなので(レンズをボディから外した状態で両リングを回しても絞りの形が見えたりピント移動したりすることがない)もっと操作感にこだわることは出来たと思うのだけど…。
レンズのカメラマウントへの装着方向絞りリングの回転方向ピントリングの回転方向(これは設定で逆回転に変更もできる)はペンタと同じで違和感がなく、非常に良好。まあFUJICAってペンタと一緒にM42マウント使ってたメーカーだし、コンセプト同じのが継承されてるんでしょうね。
一点気になったのは、ファインダ等への距離指標バーの表示。右が遠距離、左が近距離になっているけど、レンズの回転方向を考えるとこの表示は逆(左が遠距離)なんじゃないかなあと思う。できればこれも設定で逆にできるといいかなあと思う。

さらりとつかった印象では明るくてボケも素直なようだし扱いやすいレンズっぽいかな。ペンタ時代は銀塩の時はFA43mmを、APS-C時代はFA31mmを標準に使っていたこともあり、APS-Cで35mmは若干狭いと感じるのじゃないかと気になっていたけど、今のところあまり違和感なく焦点距離感覚をつかめるようになった印象。

今後は僕の定番焦点距離として広角は16mmF1.4を、望遠に発売見込みの80mmマクロを、と考えている。広角に関しては10-24mmF4も評判が良いみたいなので少し悩む。ずっと感覚的に慣れている換算24mmでいいのか、ここで改めて好みの焦点距離を探しなおす広角ズームがいいのか…まあ悩んでいるうちが一番楽しいですよね。

・ステップアップリング 52mm→58mm
XF35mmF1.4のフィルター径が52mmなのだけど、このレンズのキャップ使いにくいし、手持ちのPLフィルタは小型の方は58mmを使うよう統一しているのでステップアップリングを調達。なお、XF35mmF1.4には当面レンズフードを装着しないつもりだけど、もし必要ならフィルター径も変わることだし八仙堂あたりで調達すればよいだろう。

・レンズキャップ タムロン旧式 58mm

型番忘れた。数年前にモデルチェンジした奴はあまり装着よろしくないのでその前に結構な数のキャップを買い占めてあるのでそれを使う。
手元には55mm・58mm・67mm・77mmがそれぞれ5枚ぐらいづつストックしてある。

とりあえずはこんな感じ。必要あったら追記。

FUJIFILM X-T1を買った(購入するまでの想い悩みをつらつらと)

レンズ交換式カメラの新機軸として、富士フイルムX-T1を買った。
これで過去20年以上のお付き合いがあったPENTAXとは一旦お別れ(とはいってもいつかまた機会があったら購入しようと思ってはいるが)。

過去、レンズ交換式カメラを初めて買ったのは1996年、PENTAX MXを中古で(@フジヤカメラ)で、その後
PENTAX MX、(Canon EX-Auto)、PENTAX MGPENTAX MZ-3、(RICOH XR-8)、(PENTAX ME)、(PENTAX ME-Super)、(Olympus OM-40)、PENTAX *istDPENTAX K20D、(PENTAX K-m)、PENTAX K-7PENTAX K-5
辺りを使ってきた(カッコつきはほとんど使わなかったもの)。まあ、ほとんどペンタックス一筋。
最初は、当時活動していた天文部向けで天体写真を撮れるカメラ、と言うことでフルメカニカルで軽量小型のMXから入り、軽量小型であることは体に馴染んだのでMZ-3に買い換え、その後もKマウントのデジカメへ、と言う道を歩んできたわけだ。僕の場合、旅行写真・スナップ写真がメインで動体にあまり興味がないため、ペンタでは弱いと言われるAFシステムにも特に不満を感じない(と言うか普段はAF機でもほとんどMFで撮影していたが)と言うのもペンタをずっと使っていた理由かもしれない。

で、なんで今になって脱ペンタしようかと思ったのか、動機は二つ。
1つめは、PENTAX K-1が発売され、それはそれで非常に魅力的なカメラではあるのだが、結局食指が動かなかったこと。いや、素晴らしい出来のカメラであり、いつかはK-1(ないしその後継機?)を入手したいとは思っているのだが、如何せんカメラボディとして重たすぎる。PENTAX MX495g(電池・フィルム無し)、PENTAX MZ-3425g(電池・フィルム無し)と言う軽さから始まった身としては、PENTAX K-1の925g(本体のみ)・1010g(バッテリー・SDカード込)と言う重量は重すぎる。もちろん、あの中に手振れ補正機構・ペンタプリズムファインダーが入っているのだからこの重量になってしまうのは仕方ないとは分かっているけど、やはり常用できる重さではないなあと。フルサイズなのにあの小型は非常に魅力的なだけに、残念な決断だった。
とは言え、僕にとってはやっぱりEVFよりOVFの方が撮影する気にさせてくれるので、またいつか機会があったらサブシステムでペンタ機を買おうとは思っている。
2つめは、ずいぶんと横道に逸れた話題になるが、SONY a9が発売されたこと。ついにミラーレスの完成形が見えてきたように思う。従来、OVFを省略するミラーレスシステムと言うのは軽量小型にできるメリットはあれども、フォーカルプレーンシャッターもいらないんじゃないの?と言うのが僕の想いだった。今まではローリング歪み(いわゆるこんにゃく現象)が発生するため、フォーカルプレインシャッターまでなくす決断はなかったのだが、a9の積層型CMOSによりフォーカルプレーンシャッター自体もなくせる可能性が見いだされ、その副次的作用としてフルタイムAF・EVFのブラックアウト無しなどの強力なメリットの可能性が指摘されている。
この未来が出た以上、いつまでもOVFにしがみつくのではなくEVFに体を慣らすことが必要だよなあ、とつくづく感じたわけだ。EVFに移行するならKマウント…いやPENTAXに固執する必要もなく、改めてまっさらな目でメーカー・マウントを検討しても良いかと思い直した次第だ。

さて、そんな感じで他社機のミラーレスに移行しようかと思ったのだが、ここでまあそれなりに悩みは発生した。『いつかはミラーレス』とは自分でも考えていたので、各メーカー検討していたのだが、なかなか決定打がなかった。
オリンパス m4/3 → あまり好きなメーカーじゃないのでほぼ常に検討外。
パナソニック m4/3 → コンデジの方はDMC-LX3→DMC-LX100とパナを使っていたこともあり、同じマイクロフォーサーズ勢でもオリンパスと違って購入の検討は幾度かした。が、結局『マイクロフォーサーズは基本アスペクト比が4:3』と言うのが気に入らなくて、検討除外になってしまった。m4/3自体は撮像素子のアスペクト比は固定しておらず、実際に初期のパナ機にはマルチアスペクトを搭載したGH1/GH2などがあったので、あの路線がマルチアスペクト機から動画重視機になってしまい、マルチアスペクトが外されてしまったのはちょっと痛かったかなと思う。
キヤノン EOS-M → あまり好きなメーカーじゃないのでほぼ常に検討外。
ニコン 1システム → 結局、今となってはほぼ開発終了ですよね。
PENTAX Qマウント → これも今となってはほぼ開発終了ですよね。
シグマ SAマウント → ちょっとストイックと言うか、修業しすぎなので…まあああいう撮影コンセプトは凄いと思うけど
ライカ Mマウント/Tマウント → 高いので検討せず
ハッセルブラッドフェーズワンフジGXは高いので以下略

…と言う感じで、SONY EマウントとFUJI Xマウントが候補として残った。
・SONY Eマウント → 最後まで悩んだ…と言うか、フルサイズにせよ、APS-Cサイズにせよ、最後にユニバーサルマウントになるのはEマウントなんだろうなあと思ってます。じゃあなんで選ばなかったのか。ボディデザインや操作性が好きになれなかったから。中途半端にクラシカルデザインなのに、操作系は今どきのコンデジみたい。操作性に影響与えない範囲でクラシカルなデザインにしていると言うのなら納得できるが、例えば電子ダイアルなんかはどうせつけるのなら指がかりのことを考えて真横や垂直ではなく斜めにつけた方が操作性は良いはず。逆にクラシカルであることを重視するのであれば、コンデジチックなメニューダイアルいらないでしょ、みたいな中途半端が最後まで気になってしまった。SONYは体力あるのだからフルサイズ/APS-Cでそれぞれクラシカルデザイン寄り/エルゴノミックレイアウト両方のモデル出す余裕はあると思うのだけどなあ。特にa9はコンセプト的に最高の撮像素子を積んでいるにもかかわらず、カメラとして実に中途半端だと思う。プロ用途ならワンサイズ大きくなってもいいから扱いやすい電子ダイアル配置や堅牢性にもっと力注いでもいいだろうに…SONYにはその辺のカメラコンセプトを仕上げるリーダーがいないんですかね。いっそのこと、ニコンもSONYが吸収してニコンの技術者にEマウントプロ機設計させればいいのにと思う。
・FUJI Xマウント → Xマウント初期のころは、世間の評判もあまりよろしくなく(見た目だけでソフトウェアの煮詰めが甘い、AFなんかの動きがまだるっこい、ボタンレイアウトも中途半端)興味はあるけど…ちょっとネガティブな印象だった。けど、今回購入した機種でもあるX-T1が出てかなり評価が変わった。デザインが僕の好みど真ん中だったのだ。先に書いたように、PENTAX MX・MZ-3で育ってきた身としては、こういうダイアル式カメラ然としたたたずまいは大歓迎だった。X-T1は過去に購入を何度も検討したが、最初に悩んだとき「ミラーレスに完全に軸足を移す」踏ん切りがつかず、Panasonic LX100でお茶を濁していて、なおかつLX100でそこそこ普段の用途に足りていたのもあって、なかなか購入に至らなかった。が無事X-T2も出て後継機の心配もよさそう、X-T1の中古の値ごろ感も出ている状況で、よーしいよいよ軸足を移すか!と今回決意できたので購入に至った次第である。

とまあ、グダグダ書いてしまったがついにX-T1を導入した。最初に買うセットレンズは、悩んだが標準レンズとしてXF35mmF1.4にした。まあ最初からズームレンズは興味なかったし、XF35mmF2とどっち買うかは結構悩んだが、地味に「過去F1.4のレンズは買ってない」のが後押ししたかもしれない(今までは、明るいレンズでも携行性を考慮してF1.7-F1.8クラスを買う事が基本だった)。
購入後のレビューはまた改めて。

写真家 周剣生は撮影モラルを守らない最低の写真家である

今週号(2016年4月2日号)の週刊ダイヤモンドを読んでいたら、とんでもない記事を見かけた。

Screenshot_2016-04-01-20-21-36

本文中引用すると、

その日は閉園まで写真を撮り続けていた。翌早朝にも撮影したいと警備員に交渉したら、「9時の開園まで入り口からは撮影禁止……。でも、他の場所は知らないわ」と暗示するように答えた。探してみたら入り口から離れた場所にフェンスが破れている箇所があった。翌朝3時ごろにそこから中へ忍び入った。闇の中で三脚を立てて撮影の準備をしていたところ、向こうから人影が寄ってきた。月の光を借りて見てみたら、昨日の警備員。思わずお互いに笑い合った。

とある。

なんだこれは。要約すると、「職業写真家が自分の仕事(撮影)の為に、撮影禁止のルールを破り、撮影禁止区画に入り込み写真を撮った」と言うことである。
本人は美談だとでも思ったのだろうか。

世間では、アマチュアを含めた写真家のマナーの悪さがしばしば議論されている。やれ撮り鉄葬式鉄が最終運行や特別運行の為に集団占拠したり線路内に立ち入ったり、やれ撮り鉄ネイチャーフォトグラファーが撮影の為に無断で草木を伐採してしまったり…枚挙にいとまがない。
プロカメラマンだとか職業写真家だとか言う連中は、それらの行為についてどのように考えているのだろうか。写真文化の発展のために、撮影マナーの徹底・撮影モラルの向上を図るのも彼らの責務ではないだろうか。

それどころか、今回の件に至ってはプロ写真家が積極的に撮影マナー違反である。自分の仕事を自分で汚しているのである。一般的な勤め人ならこんなことはしないだろう。所属企業があり、企業にはコンプライアンスがあるからである。悲しいかな、写真家と言うのは大概フリーランスであるから、コンプライアンス意識が全く働かないのだろう。
しかもアマチュアの場合は「撮影マナーを破った」で済むだろうが、プロの場合は撮影した写真の対価として金銭を得るわけで、今回の件は完全に盗人である。金銭をもらう写真を撮るのであるから、金銭を払って然るべき場所から許可を得るのが当然である。

今回の件はあまりにも疑念を感じたので、週刊ダイヤモンドのWeb上の問合せフォームから苦情を送ってみた。

■お問い合わせ内容
2016年4月2日号週刊ダイヤモンド 世界遺産を撮る の記事に関して
文中に「撮影の為に進入禁止区画に入った」とあります。あたかも美談のようにしてごまかしていますが、『職業写真家が撮影モラルを逸脱』と言う行為を書くのはどう言うことでしょうか。自らの職業の尊厳を侮辱し、世間の撮影マナーを低下させ、アマチュア写真家のマナー違反を助長・言い訳させるような行為。このような行動をする、記事にしてしまう写真家を起用すべきではありません。例えどんなに写真が美しかろうとも、それは汚れた写真です。雑誌編集局の方々は、スクープ記事を獲得するためなら法令違反の取材をしてもいいと考えますか?

返信

いつもご愛読ありがとうございます。
「世界遺産を撮る」の担当をしております深澤と申します。

お問い合わせいただいた点ですが、
本誌としては、もちろん撮影モラルを逸脱することを推奨する意図はございません。

本記事も、決して「撮影の為に進入禁止区画に入った」わけではありません。
開園時間以外の時間帯に撮影したいと警備員に申し出たところ、
警備員自身が、暗に「入り口以外から入るのは関知しない」旨の回答をしたので、
その意を汲み取って、入り口以外から入り撮影をしていたところ、
その警備員に見つかったが、案の定、咎められることもなく、
むしろ「言外の意を察してくれたのか」と相手も笑ってくれた、という話です。

もちろん、無断で忍び込んだということであれば問題ですが、
事前に警備員とのやり取りがあったという点において、
撮影時のエピソードとして掲載に足ると考えました。

以上、
なにとぞご理解のほど、お願い申し上げます。

まだ疑問が解消しないのでもう一度質問してみた

例えばの話ですが

警備員は訛りの強い外国人の過剰な要求に辟易した
別に自分に非が発生するものでもないので
「入り口から入ること以外は関知しない」
と済ませた
案の定、潜り込んでいたので苦笑した

と言う可能性を否定できる話なのでしょうか?
勝手に自己都合で意を改変していませんか?

もし、問題ないのであれば
「入り口以外から入るのは関知しない」ではなく
「入り口以外から入るのに許可はいらない」なのではないでしょうか?

そもそも、この写真撮影は仕事で掲載にあたって金銭の授受が発生する
ものではないのでしょうか?
ならば然るべき場所に許可を取り、必要なら撮影の為に特別料金を払って
撮影する
必要のあるものなのではないでしょうか?

とても笑い話で済ませられるものではないと考えます。

その返信

お世話になります。

そのときの警備員の心情など、
仮定の話を検証するのは、なかなか難しいですが、
カメラマンの周氏はユネスコの事務局特別推薦の世界遺産写真家として
活動している人物でもあるので、通常とは違う対応もあったのかもしれません。

今回の作品が「汚れた写真」だとは決して思いませんが、
「世間の撮影マナーを低下させ、アマチュア写真家のマナー違反を助長する」
可能性がまったくないとは言えませんので、
今後は記事については細心の注意を払いたいと思います。

ご指摘ありがとうございました。

深澤

と言うやり取りになった。
結局、ダイヤモンドの担当者がこの問題を理解する気はないようなのであまり引っ張っても仕方なかろうと思い、これで放置。

だがあらためて思うが『ユネスコの事務局特別推薦の世界遺産写真家』ならば、ますますもって『特別許可を得て撮影できるはず』であり、こんな夜間忍び込みのような最低な行為をする必要はないと思うのだが、担当者ですら疑問に思わないのはどういうことだろう。

フィルムスキャナー KFS-500mini 簡単なレビュー

最近、「大学の先生の還暦のお祝いやるんだけど、昔の写真ないでしょうか?」と言う相談が来た。
古い写真(ネガ、リバーサル)はちゃんと保存してあるのだけど、それをデジタル化しようとして困った。以前は大学の設備のフィルムスキャナ(CoolScan IIIとかだったと思う)を使ったり、自分用にフィルムスキャナ兼用フラッドベッドスキャナ(EPSON GT9300UF)を持っていたりしたのだけど、フラッドベッドスキャナはWindows7 64bitのドライバが配布されていなかったり、そもそも古くなってきたこともあったりで、だいぶ前に廃棄してしまっていたのだ。
で、今の手持ちの複合機のフラッドベッドでなんとかフィルムスキャンできないものかと、原稿台の上にフィルムを載せてみたり、さらにその上からライトボックスをあてがったりしてみたものの、どうにもまともな読み取りは出来なかった。
で、『さすがに写真趣味にしてるのにフィルムをデジタル化できる環境が全くないって言うのもアレだな』と思い、安物でいいからとりあえずスキャナを、と言うことでケンコー・トキナーのフィルムスキャナー KFS-500miniと言うのを買ってみた。今回はその簡単なレビュー。

結論から先に書くと、
■ネガスキャンには結構使える。ポジスキャンにはほとんど役に立たない
■スキャナと言うより、キャプチャに近い商品なので、フィルム読み込み式/フラッドベッド等に比べて、取り回しが非常に楽。
と言ったあたりだろうか。

外観、スキャン画面など

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外観的にはこんな感じ。(サイズの比較対象にマウントしたリバーサルフィルムをひとつ置いてみた)
非常にコンパクトだと思う。スリーブ用(ネガでもリバーサルでも)・マウント用(主にリバーサル用、一度に3枚セットできる)のホルダーが付属している。

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読み取り部分に(正確には発光面か)ゴミが付着する場合があるので、付属のブラシ?を使って清掃できる。

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フィルムの読み込みには、ArcSoft MediaImpression 2と言う付属ソフトを利用する。付属ソフトのシリアルはパッケージに書いてある。

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読み込み画面はこんな感じ。読み込み画面はライブビュー状態で常に読み込まれているので、リアルタイムで装着状態や撮影したいコマを確認できる。安物の素子なので、デジカメ等の背面LCDに比べるとタイムラグやこんにゃく現象など結構酷くはあるが、いちいちプレビュースキャンで待たされるフィルムスキャナーよりはずっと待ち時間が少なく、楽である。
スキャンも、『パシャッ』と言う効果音が出て一瞬で終わる。要するにラインセンサーのスキャナーではなくて、デュプリケータなんかと同じように単に撮影しているだけなのだ。
なお、プレビューの画面ではアスペクト比が3:2ではないが、実際にスキャンされる画像はちゃんと3:2になる。またプレビューではだいぶトリミングされてるように見えるが、実際にスキャンされる画像はそこまではトリミングされてない(正確に比較できないが97、8%ぐらいは読み込んでると思う)。
プレビューにわざとコマ間の枠を表示させて確認する感じだと、タル型の歪曲があるように見えるが実際のスキャン画像はちゃんと補正されてると思う。

実際に読み込んだサンプル

実際に読み込んだ写真がどんな感じか、いくつかサンプルをとってみて、過去に使っていたフィルムスキャナ兼用フラッドベッドスキャナ(EPSON GT9300UF)の画像と比較してみた。

まずはネガの写真から。神戸ルミナリエの夜景、フィルムはKonica Centuria 200S。レンズはたぶんFA 43mm F1.9 Limited

CENTURIA200S-scan033
これが以前にGT9300UFでスキャンしたサンプル。
GT9300UFは比較的にネガ、特に夜景が苦手でこれは読み込むのに結構苦労したサンプルだと思う。

CENTURIA200S-01-Neg-Portrait_orig
KFS-500miniで読み込んだサンプル。結構ラティチュードを広く読んでくれているのが分かると思う。

CENTURIA200S-01-Neg-Portrait
仕上げ用に調整してこんなものだろうか。

もう一枚ネガのサンプル。ハワイにて、フィルムはKodak GC 400-8とある。肖像権怒られそうな気もするけど、まあ顔が影になってるしいいかなあと。

GT9300UF017
GT9300UFでスキャンしたサンプル。
明るい景色のはフラッドベッドでもあまり問題はなかったけど、色再現は結構ひどかった。

2016-02-17_0
こっちがKFS-500miniで読み込んだサンプル。両方のサンプルともほぼ素の読み込みだけであまり手を加えていない。色味がだいぶ違うのはともかくとして、空の濃淡の模様がこんなにも違うのはなぜだろう。
フィルムを見る限りではKFS-500miniの濃淡の方がおかしいように見えるが、何とも言い切れない。

次にリバーサルの写真から。長野県臼田天文台にて、フィルムはFuji Torebi 100C。レンズはたぶんTAMRON SP 90mm F2.8 MACRO

GT9300UF020-1
GT9300UFでスキャンしたサンプル。仕上げ用に周辺減光など少しいじってあるので、サンプルには若干微妙かと思ったけど、ポートレートの良いのがなかったので。
GT9300UFはポジならスキャンは非常に楽だった。

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KFS-500miniで読み込んだサンプル。素の状態ではコントラストきつくて酷いことになってる。

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48bit-tiffで読み込んでコントラストを目いっぱい下げて微調整してこんな感じ。

もう一つリバーサルの写真のサンプル。愛知県常滑にて、フィルムはFuji RDP-III。レンズはたぶんFA 77mm F1.8 Limited

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GT9300UFでスキャンしたサンプル。

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KFS-500miniで読み込んだサンプル。この写真は焼き物のオブジェの色が白いか黒いかだけで、意外にコントラストはきつないのか、素で出してもコントラストはそれほど違和感ない。

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微調整してこんな感じか。この写真で比較すると結構トリミングされているのが分かる。

ざっくりとこんな感じ。個人的にはリバーサルは少しでも明るめのところが全く粘らず白飛びしてしまうのがきついと思う。リバーサルにはこのスキャナはあくまで仮スキャンとして、もっと良いスキャナを買った方がよさそうだ。
一方でネガならさくさくスキャンできるし、素の状態で結構使える状態に読んでくれるので、かなり便利に使えるかと思う。